日本行動計量学会研究部会 2018年度-2019年度

研究目的

  • 2者間の関係を考える場合に,その関係が対称的な関係ではなく,知人間の関係やネットワーク上の対話量など,本質的に非対称な関係が想定される場合について,その分析のための理論および方法について研究し,行動計量学の研究範囲をより広げるために以下のような研究計画のもとに活動を行う

研究計画

社会行動科学から自然科学に至る広範な分野で観測される非対称関係データに関する計量心理学、数理心理学、数理統計学、地理学、政治学、社会学、マーケッティング、生物学、物理学、化学分野などでの各種のアプローチについて、各分野の研究者の間の学会発表等の相互交流を継続的に行い、非対称データを発生せしめる現象に関する学際的な理論的研究や応用研究について,以前の研究部会による成果も踏まえて行う。

活動

2018年度 日本行動計量学会第46回大会(慶應義塾大学三田キャンパス)において, 特別セッション 非対称データの分析-理論と応用-を設けて,以下の4件の研究発表を行った.

  • An elementary theory of a dynamic weighted digraph
    ○千野 直仁(愛知学院大学心身科学部)
      • 有方向性グラフに関する時間軸での変化を捉えるための理論に関しての発表がなされた.
  • 単相 2 元非対称多次元尺度構成法の比較と検討 -距離モデルの場合-
    • ○岡太 彬訓(立教大学),今泉 忠(多摩大学)
    • 非対称類似度/非類似度を分析するためのモデルと手法について.Distance-radiusモデル,slide-vectorモデル,2相2元データとみなすモデルについて比較検討がなされた.
  • 対角要素に依存しない slide vector model の提案
    • ○今泉 忠(多摩大学経営情報学部),岡太 彬訓(立教大学)
    • 単相2元非対称類似度行列を分析する slide-vectorモデルでは同一の対象間の類似度が分析に影響する.そこで,この部分に影響しないモデルについて提案された.
  • 2 相 3 元 Dominance 点モデルを用いた Functional MDS につい
    • ○土田 潤(東京理科大学工学部情報工学科),宿久 洋(同志社大学文化情報学部
    • 複数の時点から2 相 3 元非対称類似度行列を分析するためのDominance 点モデルにおいて,布置とDominance点が直行行列の変換のもとで変わるとしたモデルを提案した.

2019年度 日本行動計量学会第47回大会(大阪大学吹田キャンパス)では,特別セッションを設けて非対称分析の理論と応用に関する研究促進を図った.

  • An elementary theory of a dynamic weighted digraph (2) Its relation to the theory of evolutionarily stable strategy
    • ○千野 直仁(愛知学院大学心身科学部)
    • 2018年度の継続研究の成果の発表がなされた.特に微分方程式による表現の場合のその性質について発表がなされた.
  • スライドベクトルを用いた Distance-association model について
    • ○土田 潤(東京理科大学工学部情報工学科),宿久 洋(同志社大学文化情報学部)
    • スライドベクトルモデルを対象×項目からなる2相2元データへの適用としてDistance-association modelを提案した.特に反応確率を要素とするデータ行列への適用モデルについて提案された.
  • 単相 2 元非対称類似度行列の楕円モデルの適用可能性
    • ○今泉 忠(多摩大学経営情報学部)
    • Distance-radiusモデルの拡張として,非対称関係の表現として円ではなく楕円を用いたモデルについて説明され,どのようなモデルを選択するかについて発表がなされた.
  • 画像データの分類によるブランドイメージの類似性と混同についての分析
    • ○中山 厚穂(首都大学東京大学院経営学研究科)
    • Webに投稿されている写真データやビデオデータに対しての非対称多次元尺度構成法の適用について発表された.特に,写真データやビデオデータの解析ではCNNモデル よる深層学習モデルが適用された.
  • 特性に基づくブランドの評価
    • ○岡太 彬訓(立教大学),鶴見 裕之(横浜国立大学)
    • ブランド選択の変化を捉えるために,特に,ブランドスイッチングにおける優劣関係を明らかにするために,3時点の隣り合う2時点間のブランドスイッチング行列の差の行列について特異値分解を用いた非対称多次元尺度構成法による分析について発表された
  • 発表タイトルも理論に関する発表や応用に関する発表などがあり,また,分野も広いものであった.

2019年度では,広く研究部会メンバー以外も含めるようにラウンドテーブルを設けた.

  • 話題提供として多摩大学の今泉 忠氏による「非対称分析から見えること,見えないこと 」
  • 首都大学東京の中山 厚穂氏による「マーケティングにおける非対称データの活用」して応用場面の問題点が提起された
  • その後ラウンドテーブル参加者と活発な議論がなされた.

2年間の研究部会活動として外部研究者を招いた研究集会を開催する計画であったが,2020年2月〜3月の外部環境の変化により開催できなかった